■ハノイの塔(その9)
【2】k本ハノイの塔問題
驚くべきことに,k≧4のときのk本ハノイの塔問題はいまだ解明されていません.
[参]ハノイの塔,「離散数学のすすめ」第10章,現代数学社
に詳細がありますが,フレイム・スチュワートのアルゴリズムの移動回数M(n,k)は実験的にn=30程度まで調べられており,その範囲では実際に最小となることが確認されています.そのため,FSアルゴリズムが最小解を与えると信じられていますが,厳密な証明はされていないのです.
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【3】ハノイの塔不等式
n枚の円盤を移動する手数をTnとすると,等式
Tn=2Tn-1+1
より,
Tn=2^n−1
を得ることができます.
ハノイの塔の棒が3本から4本の場合に拡張して,n枚の円盤を移動する手数をWnとすると,
Wn=3^n−1 (これはWn=3Wn-1+2の解)
になるのではなく,不等式
Wn(n+1)/2≦2Wn(n-1)/2+Tn
Wn(n+1)/2≦2^n(n−1)+1
が成り立ちます.
一般には
Wm≦2Wm-k+Tk
が成り立ちますが,この不等式はまず頂上のm−k枚を移動し,次に3本の棒だけで底のk枚を移動し,最後に再び頂上のm−k枚を移動することに対応しています.問題の不等式はm=n(n+1)/2の場合に右辺を最小化する唯一のkの値に依存しています.
k本の棒の場合の最小手数をXkで表します(X3=T,X4=W).このとき,不等式
Xk((n+1,k))≦2Xk((n,k))+Xk-1((n,k−1))
Xk((n,k))≦2^n+1-k(n−1,k−1)
が成り立ちます.
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