■ハノイの塔(その7)

柱が3本のとき→4本のとき→n本のときに一般化するのはもっと難しい問題になります.4本のときのハノイの塔について

  一松信「整数と遊ぼう」日本評論社

の面白い記事がでていたので紹介します.

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【1】柱を4本にしたときの手間

 あるとき,一松先生が熱心な中学生のグループから4本のときのハノイの塔について質問を受けたそうです.彼等が実験したところによると,その手間は

  n  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10

  b  1  3  5  9  13  17  25  33  41  49

もちろん2^n−1に比べると桁違いに少ない回数です.

 差分をとってみると

  2  2  4  4  4  8  8  8  8・・・

となって,その先は

  16 16 16 16 16  32 32 32 32 32 32・・・(2^nがn+1個続く)

 このことから,4本のときのハノイの塔でもやはり枚数nの増加とともなって指数関数的に手間が増加することがわかります.ただしその増加が3本のときのハノイの塔(2^n−1)と比べ,桁違いに遅いというわけです.柱をいくら増やしても板の枚数の増加とともに指数関数的に増加します.

 そして,記事の最後に一松先生は「ハノイの塔の柱を1本増やす」という発展問題を考えた中学生に改めて敬意を表していますが,確かにこうした発想をつまらないものとして芽を摘むのは最悪の教育でしょう.私も大学院生のとき,微量元素の分析に現れる曲線は何かと考えて,当時の教授から「つまらないことを考えるな」とどやしつけられたことがあり,そのことを思い出しました.その曲線とはいまにして思えばフォークト関数です.

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