■行列式の計算(その48)

 最も簡単な射影平面は,有限体Z2上の2次元射影幾何であって,ファノ平面と呼ばれています.そして,7個の点p1〜p7を(1〜7)と略記することにして,例えば,7本の直線上の3点の組を(1,2,3),(1,4,5),(1,6,7),(2,4,6),(2,5,7),(3,4,7),(3,5,6)の7組の体系は射影幾何の公理系を満たすことになります.

 そして,q行q列の行列A={aij}を

  aij=1・・・直線liが点pjを通るとき

     0・・・そうでないとき

と定めると,成分が0か1の行列を得ることができます.

    [1,1,1,0,0,0,0]

    [1,0,0,1,1,0,0]

    [1,0,0,0,0,1,1]

  A=[0,1,0,1,0,1,0]

    [0,1,0,0,1,0,1]

    [0,0,1,1,0,0,1]

    [0,0,1,0,1,1,1]

 この結合組の例では対称行列になりましたが,一般的には対称行列とはなりません.また,この行列では,各点は3本の直線に含まれるので,各行には1が3回現れます.また,各直線は3個の点を通るので,各列にはやはり1が3回現れます.そして,すべての成分が1である行列をJとすると,行列Aは

          [3,1,1,1,1,1,1]

          [1,3,1,1,1,1,1]

          [1,1,3,1,1,1,1]

  A’A=AA’=[1,1,1,3,1,1,1]

          [1,1,1,1,3,1,1]

          [1,1,1,1,1,3,1]

          [1,1,1,1,1,1,3]

        [3,3,3,3,3,3,3]

        [3,3,3,3,3,3,3]

        [3,3,3,3,3,3,3]

  AJ=JA=[3,3,3,3,3,3,3]

        [3,3,3,3,3,3,3]

        [3,3,3,3,3,3,3]

        [3,3,3,3,3,3,3]

となります.A’は直線と点を入れ替えた双対射影平面です.

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