■ヘロンの四面体(その1)

【1】ヘロンの三角形

 三辺の長さと面積が整数である三角形をヘロン三角形といいますが,エジプト三角形は既約で,3辺の長さの公差が1の等差数列をなすヘロン三角形です.

 直角三角形でない三角形の中にもヘロン三角形は存在します.ヘロン三角形は2つのピタゴラス三角形を貼り合わせることで簡単に作ることができ,たとえば,直角三角形(5,12,13)と直角三角形(9,12,15)から三辺の長さが(13,14,15)で面積が84の鋭角三角形と三辺の長さが(4,13,15)で面積が24の鈍角三角形が得られます.

 一般に,3辺と面積が有理数であるようなすべての三角形は,有理数辺をもつ2つの直角三角形から合成されます.3辺がすべて有理数の直角三角形は適当な整数倍によってピタゴラス三角形になりますから,ヘロン三角形は広義のピラゴラス三角形から合成されるといってもよいでしょう.なお,直角三角形の面積は6の倍数ですが,それが平方数となる(a,b,c)は存在しません.

===================================

【2】ヘロンの四面体

 各辺の長さが整数,各面の面積,体積がすべて有理数の四面体をヘロンの四面体と呼ぶ.4面の辺の長さは(117,84,51),(53,52,51),(84,80,52),(80,53,117)で,最大の長さの辺117は最小のヘロンの四面体になっている.

 なお,各面の面積は1170,1800,1890,2016,体積は18144である.

===================================