■tannθ=tanθ(その3)

 正接の倍角公式は,

  tan2θ=2tanθ/(1−tan^2θ)

で与えられる.

 正接のn倍角公式は,パスカルの三角形を用いて,次のように書くことができる.

  tannθ=(nC1tanθ−nC3tan^3θ+nC5tan^5θ−・・・)/(nC0−nC2tan^2θ+nC4tan^4θ−・・・)

 分母・分子の係数は,2項係数の符号が対で交代するパスカルの正接三角形

            1

          1   1

        1   2   −1

      1   3   −3   −1

    1   4   −6   −4   1

  1   5  −10  −10   5   1

の形に並べることができる.ほとんどの教科書から消えてしまったが,美しい公式である.

  tan3θ=(3tanθ−tan^3θ)/(1−3tan^2θ)

  tan4θ=(4tanθ−4tan^3θ)/(1−6tan^2θ+tan^4θ)

  tan5θ=(5tanθ−10tan^3θ+tan^5θ)/(1−10tan^2θ+5tan^4θ)

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 tannθ=tanθを一般化してみたい。パスカルの正接三角形を使うと面倒になりそうなので、λ=exp(iθ)=cosθ+isinθとおく

λ+λ^-1=2cosθ、λ-λ^-1=2isinθ

λ^n+λ^-n=2cosnθ、λ^n-λ^-n=2isinnθ

tanθ=(λ-λ^-1)/i(λ+λ^-1)=(λ^2-1)/i(λ^2+1)

tannθ/2=2sinnθ/(2+2cosnθ)=(λ^n-λ^-n)/i(2+λ^n+λ^-n)=(λ^2n-1)/i(λ^n+1)^2=(λ^n-1)/i(λ^n+1)

tannθ=(λ^2n-1)/i(λ^2n+1)

tannθ=tanθ→(λ^2n-1)/(λ^2n+1)=(λ^2-1)/(λ^2+1)に帰着される。

μ=λ^2=exp(2iθ)とおくほうがよさそうである。

tannθ=tanθ→(μ^n-1)/(μ^n+1)=(μ-1)/(μ+1)に帰着される。

-(μ^n+1-1)-(μ^n-μ)=0

(μ-1){-2(μ^n-1+・・・μ^2+μ)}=0

(μ-1)=0または(μ^n-1+・・・μ^2+μ)=0

μ=0,(μ-1)=0または(μ^n-2+・・・μ^2+μ+1)=0→μ=cos(2π/(n-1))+isin(2π/(n-1))=cos(2θ)+isin(2θ)よりθが求まる

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n=16の場合は正15角形の中心角を求める問題に帰着されるが、

これは正三角形と正五角形を重ねて作図した際の偏角の差として計算することができる。

cos(4π/5-2π/3)=cos4π/5cos3π/2+sin4π/5sin2π/3

したがって、θは正30角形の頂点の偏角となる。

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この問題の原文は

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