■ウェアリングの問題(その261)
nを越えない最大の平方数は,ガウス記号を用いて[√n]^2と表せるのですが,nを越えない最大の平方数をとり,その残りに対して同様に最大の平方数をとる,・・・,そして残りが平方数になるとおしまいというアルゴリズムによって,4個の平方数の和
n=n1^2+n2^2+n3^2+n4^2
に分解できるように思われます.はたして,これは正しいのでしょうか?
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数値実験を続けてみることにします.
1=1^2+0^2
2=1^2+1^2
3=1^2+1^2+1^2
4=2^2+0^2
5=2^2+1^2
6=2^2+1^2+1^2
7=2^2+1^2+1^2+1^2
8=2^2+2^2
9=3^2+0^2
10=3^2+1^2
11=3^2+1^2+1^2
12=3^2+1^2+1^2+1^2
13=3^2+2^2
14=3^2+2^2+1^2
15=3^2+2^2+1^2+1^2
16=4^2
17=4^2+1^2
18=4^2+1^2+1^2
19=4^2+1^2+1^2+1^2
20=4^2+2^2
21=4^2+2^2+1^2
22=4^2+2^2+1^2+1^2
23=4^2+2^2+1^2+1^2+1^2
素数23では5個の平方和となり,このアルゴリズムは23で破綻してしまいます.もちろん,23は8n+7型の素数ですから,3個の平方和では表すことはできませんが,
23=3^2+3^2+2^2+1^2
のように4個の平方和の形に表すことができます.
また,
12=3^2+1^2+1^2+1^2=2^2+2^2+2^2
18=4^2+1^2+1^2=3^2+3^2
19=4^2+1^2+1^2+1^2=3^2+3^2+1^2
23=4^2+2^2+1^2+1^2+1^2=3^2+3^2+2^2+1^2
のように,より少ない数の平方和として幾通りかに表すことのできる数もあります.
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4=(±1)^2+(±1)^2+(±1)^2+(±1)^2 16通り
4=(±2)^2+0^2+0^2+0^2 +8通り
のように,4個の平方数による分割
n=x1^2+x2^2+x3^2+x4^2
の解の個数をR(n)で表せば,1829年,ヤコビは
R(n)= 8Σ(2d+1) n≡1(mod 2)
R(n)=24Σ(2d+1) n≡0(mod 2)
Σは(2d+1)|nをわたる
を示しました.
この出発点となった考え方は,
{Σq^(n^2)}^4=ΣR(n)q^n
=1+8nq^n/(1-q^n)
の2つの表現のq^nの係数を比較することであって,Σq^(n^2)はテータ関数です.R(n)を求めるのにヤコビはテータ関数を用いたのですが,それ以来,モジュラー形式などの解析的理論が数論へ応用されるようになり,ヤコビは2,4,6,8個の平方の和に分解する仕方の数,エルミートは3,5個の平方の和に分解する仕方の数を得ています.→コラム「もうひとつの五角数定理」,「分割数の漸近挙動」
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