■2^1000は10^302より大きいか? (その32)

(1+1/n)^n→eからスターリングの公式へ

===================================

【2】図形的証明

 もとのn次元正軸体の1象限の体積は1/n!.また,切頂後2個で1辺の長さ(2/n)の立方体ができるから,不等式

  2/n!≧(2/n)^n

が成り立つことがわかる.

 この不等式は,スターリングの不等式から明らかかもしれないが,図形的に示すことができることは面白いだろう.

 もし,この不等式を直接的に証明するならば

  n!≦2(n/2)^n

  n!/n^n≦1/2^n-1

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

であることを証明すればよい.

 左辺に対して,相加平均・相乗平均不等式を適用すると

  左辺≦(Σk/n^2)^n=((n+1)/2n)^n=1/2^n(1+1/n)^n

ここで,

  (1+1/n)^n

は増加数列で

  2≦(1+1/n)^n≦e

あることがいえるので,n!≦2(n/2)^nが証明されたことになる.

===================================

【3】雑感

 スターリングの公式

  n! 〜 √(2πn)(n/e)^n

は面白い公式で,たとえば,

  n!/n^n 〜 √(2πn)/e^n

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n 〜 √(2πn)/e^n

として,全体のn乗根をとればk/nの相乗平均が大まかに1/eに近いことがわかるだろう.あるいは

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

より,k/nの相乗平均が大まかに1/2に近いといったほうがいいかもしれない.

===================================